渡せなかったプレイリスト
私は自分の気持ちや感情が分からなくなるとき、自分の感情を探すように音楽を聴くことがあります。
自分が経験したことのない想いや悩みであっても、どこかの誰かが同じような経験をし、歌にしている。小説でも同様のことがありますが、私は誰かに共感したい生き物なのだと、最近よく思います。
また、逆転の発想として誰かに何かを伝えたいときや、誰かへの想いを楽曲から思い知らされることもしばしばあります。
ある人を思い浮かべながら作ったプレイリストは、逆境にも決して負けない強いまなざしをもった曲ばかり。ある人には、愛が溢れている曲ばかり。人に対する印象も、音楽から教えてもらうことがあるなんて、と思って以来、ひとのことを浮かべながらプレイリストを作成することをひとつの趣味としてストックしています。
つくったプレイリストを伝えることはほとんどないのだけど、伝えるチャンスさえ無くなってしまったプレイリストがひとつあったもので、どこかに放ちたくて筆を執りました。
二十歳の誕生日を迎えたばかりのエンターテイメントを届ける子に向けたプレイリスト。
1.傷つける/クリープハイプ
聴いてほしい、よりも歌ってほしかったんじゃないかな、と思う。なんでもそつなく器用にこなす、そういうタイプの子ではなかったので、歌ったらきっとまっすぐ届く、そんな気がしました。
2.アメイジンググレース/go!go!vanillas
二十歳になった節目にどんな気持ちでおめでとうが伝えたいか、考えたときにちょうど浮かんだのがこの曲。万事うまく行く純度100%のハッピーソングじゃなくて、誰かと手を取りながら、ひとつひとつの日々の中で楽しさを噛み締めて、そんな大人になったらどんなに素敵かなって。いまも、明日も笑えますようにって思って過ごしていてほしいな。
3.夢みる頃を過ぎても/きのこ帝国
彼はこれから夢をみるときだと思ったからこそ、こういう目線を送ってみたくなった。
そして、それを受け止めてくれるような懐の広さを持ってる人なんじゃないかと思ったから。
息継ぎが上手くなって苦しさを感じなくなる前に、苦しさもそのときの特有のものだよって思えるかなって、そう思えるようになってほしかったのかもしれない。
傷つけると同じように声に合いそうだな、って思った曲。
海、空がとっても似合うから。歌ったら絶対かっこよかったよー!
5.ピュアなソルジャー/Shiggy Jr.
これまでの俯瞰的な曲とは違って、同じ目線で送りたかった曲。ハッピー全開な曲調と、優しく寄り添ってくれる歌詞が背中を押してくれたらなって思う。
Bonus track
若者のゆくえ/Base Ball Bear
これは完全に後付けで組み込んだ一曲。
1人で生きていくことを選んだんだね、って。ならもっと大きくなれよって思った。傷があったって人生は続くからがんばれよって思った。若いんだから、とお節介に思った。光あれ、とはいまも思ってる。
1人でどこへ行くも本人次第なので私には関わる余地もないけれどこんなふうに思ったことは残しておきたい。誰のためでもなく、自分のために。